吹奏楽でのチューニングの進め方や指導方法

チューナー吹奏楽のおはなし

はじめて吹奏楽の指導をする先生方のなかには、合奏でのチューニングがなかなか合わず困っている方も多いのではないでしょうか?

そういう私もチューニングのBbを合わせるのに、ハーモニーディレクターの音を出しっぱなしにして合うまで待ったり、ストロボチューナーで一人ずつ測ったりして、チューニングに1時間かかることもざらでした。

 

今思えばとっても無駄なことをしていたなと、とっても反省しています。

なぜなら、チューニングのBbが合っているからといって他の音も合っているとは限らないからです。

管楽器はある程度の音程はとってくれますが、音程には幅があり、そのまま演奏したのでは曲の合奏には使えないのです。

 

それでは、どうやってチューニングをすればいいのでしょうか?

その方法を今から説明しますね。

 

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個人でのウォ―ミングアップとチューニングも大事

合奏の前には必ず個人でのウォ―ミングアップとチューニングの時間をとりましょう。

いきなり合奏で吹かせるのは準備運動をしないでプールに飛び込むようなものです。

 

場所はチューバやストリングバスは移動が大変なので合奏室でいいとして、他の楽器はなるべく各教室に分散させて個人個人が離れるようにします。

そうしないと楽器を吹いていても自分の音が聞こえないからです。

 

ある程度楽器を吹くのに体が慣れてきたら、個人でチューナーを使ってチューニングをするように声かけしておきましょう。

「ある程度音が出るようになったら、チューナーでチューニングするんだよ。」と声かけをしましょう。

この段階で、チューニングのBbだけではなく下のBbや真ん中のFなど曲で使う音域をバランスよくチューニングするように指導します。

このチューニングは合奏でのチューニングの準備なので、チューニングの針が多少ずれていても良いと思います。

ここでチューニングに時間をとると練習時間が無くなってしまいます。

楽器を組み立てたり譜面台の準備もあることを考えると15~20分で終わらせるようにします。

 

声によるチューニングの練習

さて、管楽器はある程度の音程はもっていますが、そのままでは正確な音程を出すことはできません。最初に言ったように、管楽器の音程には幅があるのです。

ではどうやって正確な音程を出すことができるようになるのでしょうか?

 

答えは、生徒一人一人が正しい音感を持つことです。生徒一人一人が正しい音感を持っていれば音程が不安定な管楽器をコントロールして正しい音程で演奏することができるようになります。

生徒一人一人が正しい音感をもつためにはソルフェージュの練習が有効です。

 

本来のソルフェージュの意味合いは違ったものになりますが、ここではハーモニーディレクターやピアノで出した音に合わせて、声に出して歌うことを言います。

 

ハーモニーディレクターがない吹奏楽部はピアノで音とりするのでもいいですが、後援会にかけあってぜひハーモニーディレクターを購入しましょう。

キーを変えたり純正率和音が出せたりと、とても便利ですよ。(以下ハーモニーディレクターをHDと略します。)

 

それでは早速、ソルフェージュの練習をやってみましょう!

<練習の手順>

1.基準音をとる

HDでBb(A=442)の音を出し、生徒に声で歌わせます(発音は「あ」で)。はじめはおおよそ合っていればOKです。あまりにずれている場合はもう一度やります。

これ以降のどのパターンも同じですが、大きくずれていたらもう一度同じパターンをやりましょう。

1回目より2回目のほうが音が合うようになっているはずです。

2.Bbスタート

(1段階)

①(HD)BbーAーBb、(声)BbーAーBb

分かりにくいと思いますので、このパターンだけ楽譜を掲載しておきます。

動きの音は2分音符で最後の音は全音符の伸ばしです。

 

テンポは遅すぎないように♩=110程度がいいと思います。

パーカッションのメンバーもぜひ一緒にやってください。一緒にやることで管楽器の生徒たちと連帯感が芽生えます。

 

そして、指導する先生もぜひ生徒と一緒に歌ってあげてください。そうすることで生徒と先生の間に信頼関係ができます。

ガイド音は生徒が歌っている間も出してあげてください。数カ月してだいぶ慣れてきたらガイド音を出さずにやってみるのもよいでしょう。

 

②(HD)BbーAbーBb、(声)BbーAbーBb

③(HD)BbーBーBb、(声)BbーBーBb

④(HD)BbーCーBb、(声)BbーCーBb

 

3.Fスタート(チューニングのBbの一つ下のFから始めます)

まず、HDで基準音のFを出して声を合わせます。

①(HD)FーEーF、(声)FーEーF

②(HD)FーEbーF、(声)FーEbーF

③(HD)FーF#ーF、(声)FーF#ーF

④(HD)FーGーF、(声)FーGーF

 

4.Fスタート2段階

もう一度FをHDで鳴らして基準音をとります。

ここから2段階になるので難しくなります。

(2段階下降形)

①(HD) FーEーEーEb、(声)FーEーEーEb

②(HD) FーEーEーD、(声)FーEーEーD

③(HD)FーEbーEbーD、(声)FーEbーEbーD

④(HD)FーEbーEbーDb、(声)FーEbーEbーDb

(2段階上昇形)

⑤(HD)FーF#ーF#ーG、(声)FーF#ーF#ーG

⑥(HD)FーF#ーF#ーG#、(声)FーF#ーF#ーG#

⑦(HD)FーGーGーG#、(声)FーGーGーG#

⑧(HD)FーGーGーA、(声)FーGーGーA

2段階は難しいので1段階がおおよそできるようになってから取り入れてもいいと思います。

このような練習を普段の合奏練習に取り入れることによって、個々の生徒の音感が鍛えられます。

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楽器を使ってのチューニングの練習

声でのソルフェージュの練習が終わったら、同じパターン+αを楽器を使って行います。

楽器でやるときもHDでガイド音を出すのは全く同じです。ここでも数カ月練習して慣れてきたら楽器が演奏しているときのガイド音を出さずにやってみるのも良い練習になると思います。

<練習の手順>

1.声でやったソルフェージュのパターンを楽器で音を出してやる。

2.声での練習パターンに以下の練習を追加する。

(チューニングのBbの1オクターブ下のBbスタートの1段階)

①(HD)BbーAーBb、(楽器)BbーAーBb

②(HD)BbーAbーBb、(楽器)BbーAbーBb

③(HD)BbーBーBb、(楽器)BbーBーBb

④(HD)BbーCーBb、(楽器)BbーCーBb

このあたりの音域は特に合いにくいので、ひとつのパターンを何度かやって、音が合うようにします。(ただし、時間がかかるので深追いは禁物です。)

 

この練習が終わったらもう一度チューニングのBbを合わせてバランス練習、ハーモニー練習、リズム練習など通常やっている練習をやります。

ソルフェージュの練習で生徒には「音を合わせる」という意識が芽生えているはずですから、通常の基礎練習も音が合うようになって、基礎練習の時間も節約できるはずです。(数日やっただけで効果があるものではありませんが…)

 

また、指導者の先生は毎日練習に来られるわけではないと思いますので、生徒のなかから数人この練習の指示を出せる生徒を育てておいて、先生がいなくてもソルフェージュの練習ができるようにしておくといいですね。

 

まとめ

今回は「吹奏楽でのチューニングの進め方や指導方法」についてまとめてみました。

吹奏楽でチューニングといえばチューニングのBbを合わせることですが、学校の吹奏楽部ではそれだけでは他の音が合いません。

 

今回紹介しましたように、いろんな音を声に出して歌うことで、個々の生徒が音感を持つことが大事だと思います。

そして、歌うように楽器を吹けるようになることが最終的な目的だと私は思っています。

 

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