吹奏楽の基礎合奏でバランス練習というものがありますね。音域でAグループ、Bグループ、Cグループ、Dグループに分かれて2拍ずつズレて入っていくアレです。
あの練習っていったい何の目的があるのでしょうか?
そりゃバランス練習っていうからには音量のバランスを整えるための練習に決まってますよね。
でも、バランス練習ってそれだけのための練習なのでしょうか?音量のバランスを整えるためだけなら、みんなで一緒にロングトーンをすればいいのではないでしょうか?
前のグループが出て2拍待つというのにこのバランス練習の意味があるのです。
それでは吹奏楽のバランス練習の目的は何なのか。
また、どんなことに注意してやればいいのか考えてみましょう。
吹奏楽でのバランス練習の目的は何?
吹奏楽でのバランス練習の最終的な目的は全体で演奏したときのサウンドづくりにあります。
バランス練習で最も重要なのは前のグループが出した音を聞いて、自分の吹かなければならない音を良くイメージして前の音に乗っかるように入ることが大切です。
ここに2拍ずつズレて入る意味があります。
バランス練習はチューニングの練習でもあるのですね。
このときバランス練習だからと言って、前の音より小さく吹こうとしなくても良いと思います。
良く吹奏楽のバランスはピラミッド型にすると良いという話を聞きますが、これをあまり意識してしまうと全体のサウンドが暗くなってしまいますので、わたしはどちらかというと台形型のバランスが良いのではないかと思っています。
「自分の吹かなければならない音を良くイメージして前の音に乗っかるように入ること。」を意識していれば自然にバランスも良くなってくるはずです。
もちろん、指導者の先生が全体のサウンドを聞き、微調整が必要になります。
バランス練習ではグループごとのバランスも整えていかなければなりません。
吹奏楽のサウンドは個々の楽器の音色にも左右されますので、それもバランス練習で整えていきます。
特定の楽器が聞こえなかったり、飛び出して聞こえたりするのは良くありません。
ですのでABCDグループごとでのサウンドチェックも必要になります。
ABCDグループごとやパートごとに音がそろっているか、チューニングが合っているか良く確認してからバランス練習をやると良いでしょう。
またバランス練習はグループごとのアインザッツ(音の出だし)の練習でもあります。
指揮(またはメトロノーム)をよく見てアインザッツをそろえましょう。
どうしても音が合わない場合、ABCDグループごとにどんなメンバーで吹いているか確認させると、意外と良くなったりするものです。
このようにして、ピッチがそろって、音の出だし(アインザッツ)もそろって、音量もそろったらバランス練習の完成です。透明感のあるとても美しいサウンドが出来上がっているはずです。
どうでしたか?一口にバランス練習と言ってもいろいろな目的がありましたね。
吹奏楽でのバランス練習で注意すること
では早速、バランス練習をやってみましょう。
次の楽譜がバランス練習の楽譜です。よくある普通のバランス練習に確認のためのロングトーンを1小節追加しています。
<バランス練習 譜例①>
(A4サイズのPDFファイルで作成しています、右クリックしてダウンロードしておつかいください。)
1.まず全体のチューニングをします。
2.グループ別でチューニングが合っているかチェックします。このときにグループ別で音量があっているかのチェックをし、必要であれば調節します。
グループ分けは以下のようになっています。(楽譜にも書いてあります)
(Aグループ)コントラバス、チューバ、バストロンボーン、バリトンサックス、バスクラリネット、ファゴット
(Bグループ)ユーフォニアム、トロンボーン、ホルン、テナーサックス、アルトクラリネット
(Cグループ)トランペット、アルトサックス、Bbクラリネット2nd、Bbクラリネット3rd、オーボエ
(Dグループ)ソプラノサックス、Bbクラリネット1st、Ebクラリネット、フルート、ピッコロ
3.バランス練習を譜例の通りにやります。テンポは♩=92くらいがいいでしょう。「先に出たグループの音から自分の吹く音をイメージして入ってくること」を意識させます。また、息のスピードもそろえることが大切です。しかし、発音が荒くならないように注意したいものです
4.やってみて気になったところを指摘して、もう一度やります。激しく合わない場合は合わないグループや特定の音だけ切り出してやるといいでしょう。
5.最初から完璧を目指しても、なかなか思ったようにいくものではありません。少しでも良くなったらほめてあげましょう。
とても根気のいる練習ですが、大切な練習ですので気を抜かず毎日やっていきましょう。だんだん音が合うようになり、きれいなサウンドに近づいていくでしょう。
まとめ
今回は「吹奏楽でのバランス練習の目的は何?」というテーマでまとめてみました。
バランス練習のいちばんの目的はきれいなサウンドづくりでしたね。
サウンドづくりにはいろんないろんな要素が必要でした。
音の出だし(アインザッツ)や前のグループの音から自分の吹く音をイメージして入ってくること(これが一番重要)、グループ内での音量のバランスやグループごとの音量のバランス…
しかし、最終的には指導者の先生の耳にかかっています。
根気強く練習し、ぜひすばらしいサウンドを作っていってほしいと思います。
この記事を読んだ方は次のような記事も読んでいます。
コメント